=== ArcMedia Magazine ==========================================    建築情報ネットワーク「ArcMediaマガジン」          第9号    1998/05/27発行  (隔週発行) ================================================================ ■ArcMediaマガジンは、「まぐまぐ」を利用して、建築に関連した  様々な情報をお届けする電子メールマガジンです。 皆さん、こんにちは。購読ありがとうございます。 暑くなったり、蒸したり、雨がつづいたり...すっきりしない日が続き ますが、体調には気を付けてください。 さて、今回は、「住まい」と「情報化」というテーマを取り上げたいと 思います。 ================================ [ 1] 情報化の流れが住宅にも ================================ インテリジェントビルなんて言葉は、既に使い古され過去のものとなり つつあります。殊更に「インテリジェント」なんてうたわなくても、 オフィスビルにおいてはフリーアクセスフロアを筆頭に、電源容量、空 調計画、照明計画にいたるまで全館情報化に対応しているのが当然の時 代となっているからです。 この背景には、「情報化」の進展によって、テナントが要求する設備水 準もどんどん引き上げられ、「買手市場」の感の強いオフィス市場にお いてはビルの商品力を高めるためにこうした設備投資に積極的に取り組 んでいるという事情があります。 こうした情報化の流れは、業務用オフィスビルの世界の話であったわけ ですが、気がつくと居住の場である「住宅」にもこうした情報化が一気 に押し寄せています。 現在、住宅に入り込んできている情報機器や設備を考えてみると、    ・パソコン    ・電話/FAX    ・ISDN    ・地上波TV    ・ケーブルテレビ    ・衛星放送    ・ホームセキュリティ といったものが挙げられます。 また、これらを核に、    「パソコンにはプリンターが繋がり」    「衛星放送には衛星放送チューナーが繋がり」 と、様々な機器が接続されていきます。 今や、一般家庭であっても多量の情報機器・設備に囲まれて生活してい るのです。 ================================ [ 2] 種類も数も増加の一途 ================================ しかも、これらの情報機器・設備は種類が増えただけでなく、それぞれ の数量まで増加しているのが現状です。 一昔前までは、TVは家庭に1台であり、設置場所も限定されていました が、今や、各部屋にTVがある家庭は珍しく無いことを考えれば実感でき るかと思います。 電話にしても、「コードレスフォン」の登場により場所や設備の制約が 著しく改善されたと思ったのもつかの間、パソコン&インターネットの 普及により書斎や寝室などにも有線の電話線が必要となってきています。 ================================ [ 3] 複雑化するインフラの「共用」 ================================ また、一つの設備を多用途に使用しているのも、住宅の情報機器・設備 を考える上で重要な要素です。好例は、一つの電話線を通常通話だけで なく、FAX、パソコン通信、インターネットに利用している事でしょう。 ケーブルテレビや衛星放送のインフラがインターネットのインフラとな ることも現実に出てきており、「この設備は○○に使う」と用途を限定 出来ない状況にあります。 一つの設備を多用途で共有することは、「設備の有効利用」という点か ら望ましいことではありますが、問題なのは「もともと共有利用を考え てつくられた物ではない」という事です。 だから、電話をしながらFAXを送ったり、パソコン通信したりは出来ま せん。 「出来ない」のは当たり前のように感じますが、共有利用を前提とした インターネットのインフラであれば、一本接続してさえいれば、電子メー ルもネットサーフィンも、FTPも、ストリーミングビデオも同時に利用で きるのです。 同じ「インフラの共有」であっても、両者の間には大きな格差がありま す。 ================================ [ 4] 家電機器も情報機器化 ================================ しかも、先月、SONYとマイクロソフトの技術提携が発表されたことから 解るように、家電は情報機器に変貌しようとしています。 既に「インターネット冷蔵庫」だって試作されているのです。 将来的には、掃除機から洗濯機まで「家電」の多くが家庭内で接続され、 ネットワーク化されることになるでしょう。   参考>SONYとマイクロソフトの提携     http://mesh.asahi.com/tech/silicon/report980408sony.html   参考>インターネット冷蔵庫     http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/                     article/971117/inetf.htm となると、住宅内には今後、更に多量の「情報機器」が導入され、それ に伴う「設備」が必要となるのです。OA化、情報化の流れが見えてきた オフィスビルに対し、住宅の情報化はこれからが正念場なのです。 ================================ [ 5] 住宅の情報化にどう対応する? ================================ このメールマガジンを購読の皆様は、一般よりこうした設備にたいする 志向が高いものと想定されますので、住宅の情報化をどう考えるか?と いうのはより切実な問題となります。 一番、堅実そうに見える対策は、 「新築・改築時にオーバースペックなくらい各種インフラを設置する」 ということです。(当たり前ですが) 電気コンセント、TV端子(地上波・衛星波)、電話といった設備インフ ラを、オーバースペックと思うくらい各部屋に設置しておくことで、来 るべくマルチメディア住宅時代に備えるわけです。 松下電工が住宅対応の「マルチメディア対応 先行電力・情報配線シス テム」を発表しており、こうした機器を使うことで効率的な配線が可能 となります。   参考>マルチメディア対応 先行 電力情報配線システム     http://www.aisan.co.jp/products/a5-15-2.html 同時に、電源計画として寝室と言えども「将来的に多量の電力を消費す るかもしれない」と想定しておくことが必要です。単体の機器自体は、 省電力化の方向にありますが、機器数量が増加することで確実に電力消 費量は増加するものだと考えておくべきでしょう。 ================================ [ 6] 費用対効果を考えると.... ================================ しかしながら、こうした対応は、コスト的に無駄が多いのも確かです。 将来を見越して、インフラを整えておくことは重要ではあっても、住宅 であるかぎり高いコストをかけるわけにはいかないのが現実でしょう。 実際、前述の松下電工製配線システムを導入した場合、20〜50万円のコ ストアップになると言われており、そう安いものではありません。 また、前述のとおり、住宅の配線は共有化や効率化が進んではいません。 非効率なものに対応しようとすることは、「住宅」という素材において あまりに負担が大きすぎます。 もっと効率的な仕組みは無いものなのでしょうか? 確信はありませんが、その方向性は見えてきています。 次号では、    ・無線    ・TCP/IP という2つのキーワードを取り上げ、これからの住宅における情報イン フラを引き続き考察したいと思います。(続) アークメディア通信>>>>>>>    来る6月12日(金)、13日(土)に「つくば方式住宅」に関するシン    ポジウムが開催されます。(無料)    専門家(コンサルタント)向け、地主・居住者向けなど、様々な    メニューが組まれています。    詳細は,アークメディアの「セミナー情報」,      http://www.arcmedia.co.jp/ARC.htm    をご覧ください。    ※「セミナー情報」ではその他にも多くのセミナー・シンポジウ     ム情報を紹介しております。是非、ご覧ください! ================================================================ ○電子メールマガジン「ArcMediaマガジン」第9号 1998/05/27   発行元:株式会社アークメディア       http://www.arcmedia.co.jp/   (執筆:企画開発部 山田 雄一 mailto:youichi@arcmedia.co.jp)            【ArcMediaマガジンは、転載大歓迎です。】 ==================================== ArcMedia Magazine =========